オモー

草刈機を壊してしまい傷心中の者です

某一流メゾンのなんやかんやの話

革製品といったらH!猫も杓子もH!H!兎にも角にもH!といった具合に、世の中には高品質の革製品ブランドといえばH!というイメージが深く定着している訳でありますが、その圧倒的なブランド力のみならず職人の技術力が随所に込められた超一流の革製品たちは、我々レザークラフターたちにとっては技術的な面でも気になる存在なのではないでしょうか。
だもんで特に詳しくも興味もそれほどなかった私がレザークラフター目線でハンクラ最高峰ブランドH*****について勝手に少しまとめてみました。

  • ざっとブランドのおいたち

19世紀初頭、当時フランス領(現在はドイツ)であったライン川沿いのKrefeldという街でおぎゃーと生まれたTHというおっちゃんが、戦時中故めっちゃ悲惨な目に遭いながらも、なんやかんやでノルマンディの馬具屋で修行を積んだりしたのち、なんやかんやでマイ馬具ブランドを設立、なんやかんやで堅い客を掴み、そして月日は流れ今日誰しもが知る高級ブランドHとなった!ちゃんちゃん。

  • H革職人になるには

クラフターとして一番気になるところといえば、如何にして革職人になるか?ではないでしょうか?
通常、革職人として就職する為にはCAP Maroquinerie という資格を取得するケースが多いです。(フランスはめちゃ資格社会なのです)

特に革職人になりたい!と若い内から腹の決まった若者たちは、CAP取得に向けて学習できる日本で言うところの商業高校に進んでいきます。
そうして彼らは高校在学中から最終目的であるCAP取得に向けて動いていくわけですが、企業に自らコンタクトを取り研修生として受け入れてもらえる企業を見つけて一定期間(6週間)の研修を受けたりと、なかなか一筋縄ではいかない学校生活を送るようです。
なおこの見習い研修ではHは勿論他の名だたる大手メゾンも広く受け入れているそうなので、若い内から一流のメゾンの技術を直接見ることができるのは羨ましいですね

そして全てが順調に行けば3年間の高校生活のうちにCAPを取得、晴れて革職人として企業へと就職活動をスタートすることが出来るというわけです。これがおそらく最短の雇われ革職人コース。
なおHはCAP取得後、一度どこか他の企業で就職したり研修を受けた人は雇用しないことで有名です。なのでHの職人になりたい場合は卒業後直ちに他の企業には目もくれずHに向かわなくてはいけません。

公式サイトには10人中9人が未経験とありましたが、CAPを持っている状態で採用される人はかなりいると思うので、全くの未経験というわけではないようです。

素人過ぎず、玄人過ぎない人を求めているのでしょう

  • Hの職人学校って?

Hの職人養成学校があるとフォロワーさんから聞いたのでちょろっと調べてみました。
特に年齢、前職や経験を問わずCAPなど専門的な資格も保有していないけれど、職人として才能のありそうな人をとりあえず適正テストしてみて、資質があればそこから一人前の職人として教育して育て上げるという趣旨のところのようです。
学校での養成機関は18ヶ月(一年半)、テストをパスしてCAPを取得後はそのままHに就職するも、他の企業に就職するも自由とあります。


学校といっても特に学校らしい形の学校があるわけではなく、Hのフランス全土に点在するアトリエの一つに直に通い、そこで見習い研修をしつつ資格取得を目指すということのようですね。
現在9箇所で研修の受け入れがあり、そのままCAP取得後はHの職人として働けるというほぼエスカレーター式の学校というわけです。

なお年間200人が職人として雇用されますが、そのうちの90人以上はこの学校から直で上がってきた職人とのこと。
なおイゼール県のアトリエは特別に障害者向けの職人養成学校となっています。

  • 学校に入る前のテストって?

職人としての適正度を大雑把に測るための、MRS(Method Recrutement par Simuration)テストという4時間(!ながい!)にわたる適正試験が職安経由で行われるようです。


テスト内容は 切り絵、ピンセットでのシール貼り付け作業、塗り絵など、ミリ単位での細かい技術が要される課題で構成されています。(そういうのはちょっと自信あるぞ)
なお合格率は大体65-70%ほどとのこと。
こんな感じのテスト

[Zoom sur] La Méthode de Recrutement par Simulation (MRS) - YouTube

  • 給料は?

給料のことは某動画で話題になっていましたが、ここの最低賃金額およそ1600ユーロというのを考えると職人の給料は研修後で1800-1900(勤務地により多少変動アリ)ユーロとかなので別に・・・(沢尻)というのが個人的な感想です。物価も違うし・・・

なお手取り額(NET)にすると更にもっと低くなるので、更にやっぱり別に・・・ですね。
流石にずっとこの給料な訳ではないですが、雇用後だって右肩上がりでべらぼうにあがっていく訳でも当然ないので、あれだけの超一流企業ということを考えると正直うーんとなってしまう数字だなと。別に職人の給料は高くないと思います。



以上、なんとなく知ってたこととか流し読みしたことを本当にざっとですがまとめてみました!あまり時間がないのでこんな無駄に時間のかかることをやっている場合ではありませんでした・・ヒエ~・寝ます!おやすみなさい!

汚れの種類別革汚れの落とし方メモ

革が汚れたとき、汚れの種類別に何を使って汚れを落とせばいいかというリスト画像をネットで見かけたのでざっと訳してテキスト化したものを自分用のメモとして記録しておきます。

クレヨン汚れは近いうちに試す機会が否が応でもありそうなので、今のうちにレモン汁を用意しておこう。

(レモン汁は漉き機によって革表面に鉄のブツブツがついたときにも使える万能液体!)

※なおクロム革のみに有効のこと

  • ペンの汚れ(羽ペン)
    あたたかい無脂肪乳またはレモン汁
  • ボールペン汚れ
    90度アルコール
  • クレヨンの汚れ
    水や少量のレモン汁
  • コーヒー染み、茶染み
    アンモニアをごく少量まぜた水
  • 口紅汚れ
    トリクロロエチレンまたはエーテル
  • 血液の汚れ
    酢をごく少量加えた冷水
    何らかのアミドン(小麦粉など)に冷水を加えた練り物を汚れの上に塗布し吸着させ乾燥後はがし取りブラシをかける
  • 油染み
    モンモリロナイトにトリクロロエチレンをあわせたもの、軽油またはこれら二つの溶剤を混合した練り物を汚れに塗布、吸着させ乾燥後剥がしブラシをかける
  • 機械油染み
    ナイフなどを使い厚みのある汚れ部分をナイフ先などを使い使い取り除き、バターを塗り伸ばさずに浸透させたあと乾燥を待ちブラシをかける
  • のり汚れ
    のりが完全に乾燥した後クレープゴムをかける
    ※溶剤は使わないこと

Aliexpressで中華製電気捻を購入した話

ネットで様々な捻(主にtwitter)の入れ方を見ているうち、つい自分を見失いかけた勢いで人差し指が都合のいいように振動してしまい電気捻の購入に至ってしまいました・・・

私の居住国(チーズとワインがうまい国)では今年7月からEU加盟国以外からの購入品については150ユーロまでの商品に対して20%が基本課税されるようになってしまったので、ああこれは是非とも7月前に買っておけばよかったなぁ・・・と嘆きながらポチッとしたのであります。

twitterに欲しいものを書くと崖から突き落とす勢いでポチれ!財布なんぞ道頓堀に投げ捨てろ!! などと愛や思いやりに満ちあふれた声を掛けてくださるフォロワーさん達が数多くいらっしゃいますが、今回ばかりはあなたたちの言葉は本当に正しかった。

本当早めに買っときゃよかった・・・20%ってなかなかデッカイです、とほほ・・・

そんな訳で突如現れたこのNEW税法にビビリつつ荷物を待っていたわけなのですが、当初の予定よりちょっぴり早い一週間後、先に書いた税以外は特に課税をされることもなく電気捻ちゃんが無事到着しました!

 

ということで私の散財がこれから電気捻の購入を考えている方たちの参考に少しでもなれば私も電気捻も多少は浮かばれるかな・・・と思い、以下写真を交えて使用レビューなどを書いていきたいと思います。

 

今回私が購入したのはテッテレー!この電気捻です。

electric leather edge creaser

電気捻くんの勇士

今回は本体の温度設定機と柄がセットになったものを購入しました。

こちらで国産の電気捻を買うとなると中古でも本体のみ(柄抜き)で3万円台くらいから、おまけに先っちょの選択肢の問題の問題もあり国内で買える電気捻があまり魅力的に思えなかったので、先っちょの種類が豊富で手に入れやすい中華製捻の購入に至りました。

中華製の製品は使えない、すぐ壊れるなど悪評がなかなか高いですが、国内市場に流通そのものが少なくそのような理由から入手が難しい商品がそこそこ手の届きやすい価格で手に入れることができるなど、悪いことばかりでもないのではと個人的には思っています。

電気捻はバラ売りのさきっちょ3つと同時購入で、日本円でだいたい15000円位だったと思います。日本の皆さんはもうちょっと安く買えるんだろうな、いいなぁ・・・

 

結果から簡潔に述べると今のところ全く不備なく働いてくれる上に温度調節が楽、セキュリティ機能も付いているのでので、とても買ってよかったです。

セットになっている先っちょはあまりお手頃感がない上、さして欲しい形状でもなかったので、とりあえずよく使いそうなさきっちょを三種類、単品で買ってみました。

買ったのは以下の3種類

  • 3.0mm Shallow groove
  • 2.0mm Shallow groove
  • 1.5mm Edge creasing

 

以下それぞれの先っちょの仕上がり感(タンニンなめし革に使った場合)

3.0mm Shallow groove

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2.0mm Shallow groove

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1.5mm Edge creasing

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捻を入れる対象の革にもよると思いますが個人的には160℃くらいが好みかなぁ。

(※中華製ということを忘れてはいけません。表示温度と実際の温度に多少の差があってもおかしくない)

 

散財してよかった点

  • 今までクロム革に対しては捻入れを諦めていたが、電気捻を使うことにより捻入れが可能になった。
  • 温度が安定しているのであわてず平常心で捻をいれることが可能に。どんな温度でもスイッチひと捻りで自由自在。(ほら、捻だけに・・・)
  • 電気捻導入後は先っちょを追加することで、柄付きのさまざまなノーマル捻を別途購入する必要がなくなる
  • M5規格のネジで固定式の先っちょなのですが、しっかり先っちょがはまりきっていない場合にちゃんとお知らせしてくれる(中華性の機械にしてはこのセキュリティ機能は意外だった)
  • ある程度の時間放置するとセキュリティ機能が作動して自動的に温度が下がる(中華性の機械にしては(ry)
  • 後々のことを考えれば逆に安上がりである(※中華製なので早々に壊れる可能性は無きにしも非ず、神のご加護のあらんことよ)
  • 付属の捻置き(プラスチック製)に滑り止めが付いていないのでめちゃくちゃズルズル滑る(びぃ~さんのように滑り止め対策をするが吉、危ないので)

散財してよくなかった点

  • 先っちょを変えるときタイミングを誤るとアッツッ!ってなる
  • そこそこ高めの値段のツールである(でも腕ミシンとか漉き機に比べたら・・・ねっ!てへぺろ)
  • 品質に当たり外れがある(初期不良などなら返金返品可なので特に問題なし、しかし癖のある中国人とのやり取りが苦手な人は少々やっかいかも。すぐマブダチ扱いしてくるしな)

こう書き出してみると概ね購入してよかった!という感想です。あとはすぐに壊れなければ道具としてぜんぜん優秀、エクセラン。

 

中華製電気捻の購入を考えている方は是非参考にしてみてくださいね。